高齢者の慢性疼痛の緩和
──非がん患者に対する塩酸ペンタゾシンの使用──


平成17(2005)年11月13日
第29回日本死の臨床研究会ポスター発表
於:ぱるるプラザ山口(山口市)


高齢者の慢性疼痛の緩和
──非がん患者に対する塩酸ペンタゾシンの使用──


田中由佳子 加藤恒夫
(かとう内科並木通り診療所 岡山市)


目的

高齢者の痛みは、慢性痛が大半を占め、「年だから痛いのは当たり前」と高齢者自身が我慢したり、医療者からもあまり関心を示されなかった。

しかし、緩和ケアを他の疾患に拡大することが普及し始めた今日、高齢者を中心にした非がん患者の疼痛緩和は今後の重要な課題である。

高齢者は腎機能や消化管粘膜血流の低下があり、消炎鎮痛剤やオピオイドの投与は、その効果よりも消化管出血やオピオイドの排泄障害に伴う副作用が大きく、慎重に行わねばならない。

われわれは、高齢者の疼痛に対し塩酸ペンタゾシンの効果の検討を行った。


方法

(1) 対象患者

当院の外来患者(通所リハビリテーション利用者を含む)と入院患者9名。







(2) 方法

ペンタゾシンの副作用である催吐作用を予防するため、ハロペリドールを内服30分前に服用してもらい、次いで塩酸ペンタゾシン12.5mg/日(1/2錠)から開始し、症状の状況に基づき増減した。






(3) 痛みの評価

高齢者は認知症や健忘により自らの状況を表現できかねる場合が多く、自記式評価が困難である。また、痛みを直接たずねると「痛み探し」をするようになる場合が多く、評価も難しい。







そこで我々は、患者本人から痛みの程度を尋ねる際、まずオープンクエスチョンによる開始を心がけ、「痛みがその人の生活にどう影響しているのか」の日常生活動作機能面から痛みの評価を試みた。







また、数名の患者には、「一緒に痛みをなくせるようお手伝いさせて下さい」と自己紹介し、一日の日記をつけてもらったり、患者と共に到達目標を定め痛みのフェイススケールを自らつけてもらうなど、その人に応じた評価方法を工夫した。








結果

疼痛コントロールは良好だった。最も多く出現した副作用は眠気で3名に出現した。ハロペリドールは嘔気・嘔吐症状がなければ全例で中止可能であり、副作用出現時には、本人・家族からの情報やスタッフ間の情報共有によりすぐに対処できた。






また、オープンクエスチョンから開始することにより、患者の一番辛い苦痛が痛みなのか、副作用なのか、それ以外のものなのか、もしくは苦痛はないのかを評価できた。







考察



結語

(1) 高齢者への鎮痛薬の処方時には、加齢にともなう心身の変化を考慮にいれる必要がある。

(2) 疼痛の評価は、主観的・客観的情報の収集に努め、患者の日常生活動作機能面を優先して行うことが有効である。

(3) 塩酸ペンタゾシンは注意して使えば、高齢者の慢性疼痛管理に有用であると考えられる。


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